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阿部清人のオフエアブログ

阿部清人のオフエアブログ

「あなたもDJ」記事

<地元紙に掲載された記事(2002/10/2)です>

小中学生 地域FMでDJ挑戦
原稿、構成、機器操作に奮闘中/自己表現磨きオンエア間近
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 仙台市泉区の小中学生10人がディスクジョッキーの勉強に励んでいる。先生は地域FM局「FMいずみ」のプロのパーソナリティー。発声、原稿執筆、曲の紹介まで本格的に学んだ子どもたち。その成果は同局から12日に生放送される。

「あ、え、い、う、え、お、あ、お」。子どもたちの元気な声が、部屋いっぱいに響き渡る。
 9月中旬の土曜日の午前10時。やや緊張気味の小中学生が、仙台市泉区野村にある地域FM局「せんだい泉エフエム放送」(FMいずみ)に集まっていた。
 「大きく、はっきりと口を開けてみよう。はい、もう1回」と、FMいずみの阿部清人さん。肩書は放送局次長だが、取材に出掛け、原稿を書き、番組のディスクジョッキー(DJ)も務める。
 阿部さんの指導を受けている子どもたちはDJの卵だ。発声練習から原稿執筆、機器の操作、番組内容の構成。9月初めから10月中旬まで毎週土曜日、6回にわたって、10人の小中学生がDJのイロハを学ぶ。
 この日のテーマは自己紹介の原稿作成。「何を書いたらいいの」「どうしよう」と悪戦苦闘する子どもたちに、阿部さんは「『自分をこんなふうに知ってもらいたい』と考えながら書いたらいいよ」とアドバイスした。
 「自分の言いたいことを言葉で伝えるのは、大人でも難しい。でも、その大切さをこれを機に学んでほしい」。温かい目で子どもを見守りながら、阿部さんが話す。
 「単なる遊びでは終わらせません」。この企画のもう一人の仕掛け人、泉区中央市民センターの松崎さんが笑った。「子どもたちが作る番組は生放送しますよ」

 子どもがDJを体験するこの企画は、泉区中央市民センターが区内の小中学校の教諭らを対象に実施したアンケートがきっかけだった。テーマは「学校週5日制」。
 今春から始まった学校週5日制で、休日となった土曜日をどう活用したらいいのか、教育の現場でも頭を悩ませている。社会教育主事の松崎さんもその一人だった。
 「FMいずみでDJ体験をさせ、言葉の勉強をさせたらどうか」
 アンケートの自由意見にあったこんなアイデアに、松崎さんは飛びつき、阿部さんに話を持ち込んだ。地域FM局を活用した新しい学習の場に、未知の可能性を感じたからだった。
 阿部さん自身も、ふだん仕事の中で気にかかることがあった。子ども向けの催しで感想を聞くと、「楽しかった」の後に言葉が続かない子どもたちに数多く接していた。
 「人間は自分を理解してほしいと思うし、伝わればうれしい。子どもならなおさらでしょう。でも、その表現の仕方を学校では十分には教えてくれないのでは」と阿部さん。
 DJにとって、情報を正確に伝えることと同じぐらい大切なのが、自分自身のの視点で話すこと。阿部さんは、子どもたちが得意でない自己表現を、DJ体験を通して教えられると考えた。
 「これも地域FM局の役割の一つだと思います」と阿部さん。小中学生が電波の送り手になる企画はこうして始まった。

 生放送中のスタジオ脇で目を丸くしたのは千春さん(小学5年)。「ラジオ番組は簡単そうに作っていると思っていたけど、本当はすごく大変っていうことが分かった」
 自己紹介の録音を終えた賀屋さん(中学2年)は「自分がどんな人間かなんて、考えたことがなかったから、どれだけ伝わったかなと思うけれど、こういう経験ができてよかった」と振り返った。
 9月末には音楽やマイクの音量を操作する「ミキサー」の操作方法も学び、番組の内容をどうするか全員で話し合った。回を重ねるごとに、子どもたちの顔には自信がみなぎっていくのが分かる。
 成長していく子どもたちを見ながら、松崎さんも手応えを感じている。「こうした経験が子どもの『世界』を広げると思います。子どもたちの受け皿が地域にもっともっと増えていってほしい」
 番組は今月12日午前11時から1時間、FMいずみ(79.7メガヘルツ)で生放送される予定。放送は泉区を中心に、青葉区や宮城野区、宮城県富谷町、大和町で聞くことができる。
 「最終的にどんな内容の番組になるかは、まだ予想がつきません。それだけおもしろい番組になると思いますよ。期待してください」と阿部さん。子どもたちの本番の日はもうすぐだ。

<以下、2002/11/7掲載の追跡記事です>
10月2日付で紹介した「小中学生が地域FMでディスクジョッキーに挑戦」。子どもたちは毎週土曜日、1カ月半にわたって指導を受けながら番組の準備をしてきました。10月12日、「せんだい泉エフエム放送」(FMいずみ)から生放送された番組は、子どもたちの努力の結晶でした。
 「あなたもディージェー!」。小さなDJたちの大きく元気な声が、スピーカーから流れた。
 10月12日午前11時3分、仙台市泉区野村にあるFMいずみのAスタジオ。8人の小中学生が自ら構成を考え、取材し、機器を操り、マイク前で話す番組の生放送が始まった。
 番組は15分のコーナー4本で構成。今回の企画の仕掛け人、FMいずみの阿部清人さんが力を入れた「自己紹介」や「みんなのティーチャー」「学校のうわさ」など、子どもたちが身近な話題を選んだ。
 「ぼくの学校には時間割がないんだ」
 「えー、算数ばっかりじゃいやだね」
 「一日中、体育とかいいかもね」
 最初は緊張気味だった子どもたちも、番組が進むにつれて、いつもの調子を取り戻した。
 コーナーの合間には、自分の好きな曲や母親からのリクエスト曲などを紹介。エンディングでは、一人ひとりがこの1カ月半の感想を語り、1時間の生放送を無事に乗り切った。
 「DJに大切な『伝えたい』という気持ちが、子どもたちから伝わってきました」と阿部さん。講座を開いた泉区中央市民センターの松崎さんは「子どもからたくさんのことを教わりました」と話した。
 「無事にできて良かった」「燃え尽きた」「貴重な体験だった。また挑戦したい」などと、さまざまな感想を語った子どもたち。本番後の笑顔には、充実感と自信が満ちあふれていた。

※この模様はNHKテレビでも全国放送で取り上げていただきました。


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